Webコンサル1年間で学んだ"勝てる"提案書を書くコツ30選
企業に勤めていれば「提案書」を書く機会も多くあると思います。私もWebコンサルティング業務を通して、1年間で本当に多くの提案書を書いてきました。おそらく20冊以上、スライド枚数にすると500枚は超えていると思います。提案書以外にも調査資料や指示書等を合わせると1000枚に匹敵するでしょう。もはやPowerPointは友達です。(MOS等の資格は持っていませんが)
この記事では、1年間で作った書類を見返しながら、自分のために作った資料作成の際に念頭においている考え方等をまとめました。これを実践することができれば、少なくとも価値の高い提案書は作ることが出来ると思います。基本的なことはすっ飛ばしていますが、ご容赦ください。それでは見ていきましょう。
1.提案後に相手が取るべきアクションを明確にする
提案を終えた後に、相手が「それで結局、これから何をすればいいの?」となるような提案書では良い結果を得られません。提案している施策ごとに、相手の取るべきアクションを明確にしましょう。
2.施策に優先順位を付ける
相手が取るべきアクションが書かれている提案書でも、施策に優先順位がついていないことが多々あります。「なるほど、何をすればいいのかはわかったよ。だけど、どれからやるべきなの?」のような質問に回答できるよう、施策実施後の効果やコストや難易度等から施策に優先順位をつけましょう。
3.課題/解決策/自社の提案/自社と相手のアクション/コスト/ハードルの対応関係を示す
これらは提案書では施策をわかりやすく伝えるために書くべき項目ですが、1つのスライドにまとめた対応表を作りましょう。対応関係がわかると提案全体が整理され、情報の価値が高まります。
4.施策は「課題」「事例」「提案」の順序で伝える
まずは改善余地があることを示します。それに対して一般的な解決事例として他社の施策を紹介します。その上で、クライアントのケースに最適化したご提案を伝えることで説得力が増します。
5.最終的に自社のサービスが売れるようにつくる
提案で勝ち取りたいのは、コンペでの勝利!ではなく、契約です。それも高ければ高いほどいいです。そのため、施策1つ1つに自社の製品やサービスがなぜ必要か?を示しながら、相手に必要性を伝えます。
6.提案全体を通した「基本戦略」と「施策の位置づけ」を明確にする
顧客が商品やサービスを買うまでのステップをもとに表したり、カスタマージャーニーマップ等のように表すなど書き方は自由ですが、そもそもどんな戦略で、それぞれの施策はその戦略内のどの部分を担っているのかを具体的に書きましょう。
7.自分の所属している部署以外のサービスも巻き込む
たいてい売り込むのは自分が所属している部署のサービスだと思いますが、必然性がある場合は、他部署のサービスを含むことで自社全体の売上が向上します。
8.インパクトのあるスライドを始めにもってくる
インパクトのあるスライドとは、情報としての価値が非常に高いスライドをさします。提案の最初に相手が感動するほどの情報を伝えることで、その後の反応が変わります。
9.コストとスケジュールをしっかりと算出して載せる
提案全て、施策単体ごとにどれだけのコストがかかるか、その施策がどれだけの期間を要するのかを提案の終盤で伝えることで、提案の信頼感が向上します。また、その場での判断要素ともなります。
10.裏付けを全ての施策で掲載する
BtoBの提案ではとくに、案件の金額が大きくなります。そのため、施策1つ1つの裏付けをしっかりと取り、本当に効果が出ることをわかってもらい、信頼感と納得を得ることが必要です。
11.提案書の価値は、「汎用性」「アクション性」「再利用性」で大きく変わる
提案書を見る相手は1つの職業だけではありません。エンジニアが見ても、デザイナーが見ても、マーケターが見ても価値のある情報を掲載しましょう。また、すぐに動ける資料は調査コストを削減しているため価値が高く、何度も再利用できる提案書となれば、その後の案件化にもつながります。
12.ライティング・文章表現は相手に合わせる
業界用語を使いまくり、相手にまったく施策の内容が伝わらない提案書は紙くず同然です。相手に伝わる言葉を使いましょう。せっかくの提案を100%そのままの価値で伝えるほうが得です。
13.根拠は「図」と「数字」で表す
人は文字だけでは、感じる信頼性に限界があります。そのため、画像や写真、数字を使って具体的な情報で根拠を示しましょう。
14.図は左に、言葉は右に
これはよく言われていることですが、人間は右脳がイメージを、左脳が言語を理解しやすくできているので、図を左に、言葉を右に載せると理解のコストが削減できます。
15.色と形とデザインには意味を持たせて統一する
デザインに統一感の無い資料は、そっちが気になってしまって施策の内容に目がいきません。また無意味に色や形を使うことで相手を混乱させます。意味をもたせましょう。
16.スライドに書かれている文言だけで施策が理解できるようにする
提案をしている際に、いちいち施策について説明を補足するようでは上手く価値が伝わりません。スライドに書かれている文言だけで、施策がどのようなものか、具体的にどうするのか、効果はどれだけか、それはどんな効果か等わかるようにしましょう。
17.現状、相手が上手くやっている部分は認めて褒める
相手も人間です。これまで頑張ってきたものの中で、既に上手くできているところはほめましょう。課題ばかりの提案書は聞いていて面白くないはずです。さらに、相手が既にできていることを認めることは、こちらが「見る目を持っている」ことを示すことができるポイントです。
18.1スライド1メッセージは当然ながら、1スライド単位でストーリーを作る
提案するときは、スライド毎にメッセージが明確な方がわかりやすく、こちらも話やすいです。また、課題→事例→提案→それを達成するのに必要なことなどのストーリーは相手の納得感を得る助けになります。
19.相手が状況に合わせて選択できるように1つの施策に複数の代案を示す
予算や効果、あるいは方法等によって異なる施策を提示出来る場合はなるべく提示しましょう。押し売りではなく、相手に最適な施策を選んでもらいましょう。
20.現時点では不可能な施策でも重要な場合は必要な情報を示しておく
もし、このような情報を開示していただけるなら、ここまでの施策を打つことが出来ます。具体的には~~というようにすることで、現在打つことができない施策においても価値を伝えることが出来ます。
21.自社のサービスを使う理由をしっかりつくる
若干前半のコツと重複しますが、なぜそもそも自社のサービスを使わなければいけないのか?理由を明確に示しておきましょう。示せない場合、無理に示すのはやめましょう。
22.相手が今何をできていて、今後何をすべきかわかるようにする
あなたは今ここまでできていますが、これだけ改善余地があります。なのでこのような施策をしてもらうことで、ここまで伸びます。といったように相手の状況を分析した上で、適切な伝え方をしましょう。
23.相手が本来達成すべき目的・目標は何かをこちらから示そう
相手がすでに目的を開示している場合は、前提確認として示しましょう。目的がわからない場合は、事業内容やサービス、ビジネスモデルなどから予想してこちらから示しておきましょう。目的や目標をすりあわせることで、ズレた提案をしなくてすみます。
24.施策実施前に、効果測定するためのKPIやKGI、成功の基準を決めておく
施策を打つ前に、効果を測るためのKPI等を定めておきましょう。また、どこまで数値が改善すれば成功なのかも示せると信頼感が増します。ここまでやっておくと、PDCAが回しやすく、あらかじめ足りていない分析環境についても用意することができます。
25.提案中や提案後に、見たいページが見れるつくりになっている
目次に施策番号やページ番号を掲載しておき、提案書全体で統一して使うことで、見たいページをすぐに探すことが出来ます。
26.提案が「初回」か「コンペ」か「継続」か「紹介」かで施策の情報濃度を変える
初回提案では、いきなり細かいことは言わずに、現状わかる範囲で出来ることを提案しましょう。しかし、コンペや継続ではかなり作りこんだ精密な施策を掲載すべきです。
27.相手のビジョンを細分化する
相手が「こんなふうにしたい」「売上を上げたい」等わりと漠然とした要望を出してきている場合は、具体的にそれを達成するための項目を細分化してアクションが可能な単位まで分割しましょう。
28.相手の取るべき行動と自社の取るべき行動を明確にする
相手にはこういった理由で、○○をしてほしい。その情報を用いて、自社でこういった施策を打ちます。のように、相手と自社で取るべき行動をあらかじめ示しましょう。
29.達成すべき数値が明確な場合はロードマップをつくろう
10年後までに売上100億増のように数値や期間が決まっている場合、実際に達成するために、どの部分でいくら稼ぐのか。どこをどれだけ改善すれば、増やせばその金額に達するのか、どのようなスケジュールでこなしていくのかをロードマップとして示しておきましょう。
30.KGIやKPIを達成するためのCSFを示す
CSFが大事です。具体的にその数値まで持っていくために、どんなことをするべきなのかを対応付けて、CSFを示しましょう。
まとめ
まだまだ私も未熟ですが、これだけのことを抑えて提案書を作成すれば"付加価値"の高い提案書がつくれると思います。それぞれ30選ありますが、具体的にどうやってそれをするのかは触れる機会があれば書きたいと思います。